竹鶴酒造 【広島県】

竹鶴酒造

 瀬戸内海に面した竹原一帯は、江戸時代には、数多くの塩田が作られ、塩の生産で賑わっておりました。竹鶴家も元々は製塩業を営んで居りましたが、享保18年(1733年)酒株を得て、酒造りを始めました。
 現在竹原市の中心には、当時の面影を残す、旧街並保存地区が整備され、古くからの商家が並ぶ中、竹鶴もその一画で、創業時からの蔵を修復しながら、約400石の酒造りを続けています。
 竹鶴酒造は、ウイスキーの祖と呼ばれる『竹鶴政孝』の生家でもあり、純米原酒『小笹屋竹鶴』をひやで飲むと、どこかウイスキーの熟成モルトに通ずる様に感じてしまうのは、私だけではないと思います。
 元巨人軍松井選手に似て、骨太で頑健な杜氏の『石川達也』さんは、名杜氏として酒造界で有名ですが、竹鶴の野太く、余計なものを削ぎ落とした様な酒質は、石川杜氏の風貌とオーバーラップしてしまいます。杜氏の書かれた「間違いだらけの酒常識」という小誌を読むと、個性の強いと言われる酒造りの思いは、良く伝わりますが、出会った当初は、仲々その味わいに気付く事が出来ず、ひやで、「純米」や「秘傅」を飲んでも、筋肉質のアスリートにハネ返される様に、相手にしてくれないという思いのままでした。それが、いつしか竹鶴のお燗を飲みたいなぁーと度々思うようになりました。竹鶴は、一つの行き着いたところの味わいでした。
  先般、呑み切り会に出席。熱い思いの竹鶴ファンの集まる中、50点以上ものきき酒をし、専務さん石川杜氏さんの確固たる酒造りの信念、生酛造りへの思い入れ、色が濃いと言われる事などについての話を聞かせて頂きました。今回蔵の隅に放置されていた木桶を修復しその中で醪を育てた木桶の生酛も初登場。温故知新小手先の技術や、人間の知恵に頼らない、自然の旺盛な生命力と一体となった酒造道追及の竹鶴酒造です。


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