山口酒造場【福岡県】

山口酒造場蔵の近くに天満宮の社があり、樟の銘木が茂る境内から鶯が飛んできては庭にある井戸の湧き水でのどを潤す、これはきっと良い水に違いない、天神様に恥じない酒を造ると五代目当主『山口利七』は決意する。創業天保3年(1832年)酒名を『庭の鶯』とした。
山口酒造場外観 筑後平野が広がるのどかな田園風景の中に、山口酒造場の白壁が映える。現蔵元は十一代目、酒造りの時期には杜氏や蔵人と一緒に蔵に入ります。
私共が地酒に取り組む大きなきっかけとなったのが、この山口酒造場『庭の鶯』、九州に務めていた頃の先輩に「良い蔵があるよ」と紹介してもらいました。先代蔵元から送られてきた、『庭のうぐいす特別純米』の含みの香りの良さにおどろき、ユニークなダルマのラベルに感動した記憶は鮮明です。(ちょうど平成になり始めたころの話です。)
蔵元と同行のお客様 会議室にて この蔵も当時、上原先生の指導を受け、しっかりとした造りの純米酒に取り組みはじめていました。「一に蒸し、二に蒸し、三に蒸し」と教えられ、強い乾燥蒸気による蒸米を徹底、搾り出たての堅くて、まだ渋かった新酒はひと夏越すころには旨みがのって、切れ味凄い軽快な辛口に、しかも燗上がりする力強い純米酒になりました。一時『庭のうぐいす特別純米』を飲むと背筋がピシッと伸びて、一種緊張感が漂う凄みを感じていました。
 東京に進出した当初は、九州の酒はまったく相手にされなかったようですが、今では『庭のうぐいす』はじめ筑後の純米は、やわらかく、含みの香りと酒質の良さで、首都圏でも純米酒の牽引車となりました。そして今十一代目蔵元『山口哲生』氏は、世界がJAPANに注目するのもSAKEが世界で認められ始めたのも、すべては「NIPPONのこころ」のなせる業でしょうと…
「NIPPONのこころ製造場」を目標に掲げました。
もろみの試飲 
そして、その製造場(酒蔵)からは『ウグイスラベル』の純米酒や、粕取り焼酎で漬けられた梅酒『うぐいすとまり』、『雑穀甘酒』などの人気商品が誕生しています。蔵元の見据える先には、広い世界があるのかもしれません…
それと同時にもう一度日本人に、日本の食文化の素晴らしさを再認識してほしい、という願いがあるのでしょう。

 


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