山根酒造場【鳥取県】

山根酒造場昔、日置郷と呼ばれたこの山紫水明の山里に、春に先がけて満開となる桜の名木があり、日置桜の由来となった・・・ で始まる山根酒蔵の紹介の序文は、私にも 沁み込んでいる。山根さんと梅津さん「冨玲」梅津酒造蔵元さんのトラックに乗せて頂き、山根酒蔵場へ。距離にして約20キロ、左手に日本海を見ながら進み、やがて酒蔵に到着。山根酒造場さんには以前二度程お邪魔しているが、中国山地を背にきれいに広がる田園風景は、少しも変わらぬ静かな山里。早速梅津さんと山根さんのツーショットを撮らせて頂いた。純米の聖地 鳥取県の貴重な酒蔵の貴重な蔵元二人です。
しばらくの酒談議の後、山根蔵元に蔵内を案内して頂いた。杉の木板できれいに改装された麹室を拝見し、以前には無かった「生酛」の「酛場」で、生酛造りの話を聞きました。
 竹鶴、冨玲、日置桜 三者三様に、「生酛」は面白いと語られた。江戸時代後期に完成された酒造りの頂点とも言える技法が、今又随所で蘇りつつある。「酛摺り」という手間を惜しまず、自然と対話しながら進む造りが、複雑な旨味を生み出し、抜群の切れ味を生み出す。
 山根酒蔵では22BY、強力、玉栄、雄町で各一本づつ計3本の生酛が仕込まれた。酒造の検査部屋(杜氏さんの部屋?)で、酒米の話やら、業界の話となって、あっという間に時間は過ぎました。日置桜 蔵元 山根さん気候の変動で、米は割れやすく、良い酒米を得ることが極めて難しくなりつつある事、燗上り系純米を好む人は、食に興味(食べること好き)ある人など。山根さんは「素材にこだわるのが、蔵元の仕事」と、酒米の事となると話が尽きない。鳥取県原産 日本一の長稈「強力」の復活の話は有名ですが、地元で自然農法を実践する内田百種園で栽培された無農薬米を使った 鍛造シリーズ、そして鳥取県の霊峰大山の麓の田から生まれたと言われる「雄町」、その種籾を岡山から取り寄せ、地元で栽培した雄町の生酛と「醸は農なり」「完全醗酵」の醸造道を突き進む。
 日置桜のどの銘柄にも共通する 潤いのある酸と旨味、やわらかな口当りは、素材の酒米を徹底して選び、農家と一緒に育て上げる信念と「布施の清水」と呼ばれる 超軟水の仕込水に由る所が大きい。山根さんの父上は、上原先生と無二の親友だったそうだが、その教えの上に更に試行錯誤を厭わない造りの姿勢が、独特の含みの香りの良さを生み出し酒徒を惹きつけて止まない。
最近、大阪で一部の料飲店が中心となり、純米・燗上り系のお酒の輪が広がり出して、香り系・冷や系の品揃え中心だった大阪の酒販店の品揃えが変わり始めた。従来の上から下への流れではなく、下から上へと純米志向の流れが出て来たそうだ。千葉にもその流れがやって来ている。その流れを広げる仕事をしっかりしているのかと反省しつつ、山根さんに山陰本線青谷の駅まで送って頂いた。

 


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